弁護士がぶった斬る!法的措置がとれる「ありがちパワハラ」事例2つ

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弁護士がぶった斬る!法的措置がとれる「ありがちパワハラ」事例2つ

あなたはこれまで上司に暴言を吐かれたことはあるだろうか? 企業の成長を願う役員や上司と、現場で一生懸命働く社員だからこそ、摩擦が起こることもある。

そうはいっても、あまりに人間性を欠く発言はいかがなものだろうか?

今回は、アディーレ法律事務所の岩沙好幸(いわさ・よしゆき)弁護士に、法的な措置ができる発言について聞いてみたのでご紹介しよう。

 

■社長から“奴隷”と罵られた場合

「社長の虫の居所が悪かったのか、“お前は会社の奴隷だ! 生意気を言うならクビだ! 代わりはいくらでもいる!”と怒鳴られました。ここまでひどい言われ方は初めてです。法的に問題はないのでしょうか?」(デザイン事務所勤務・デザイナー・32歳)

「奴隷だなんてひどいことをいいますね。今回の社長の発言が、日常的に行われていたのであれば、これはパワハラにあたります。

パワハラとは、上司が権力を利用して、業務の範囲を超える内容について継続的に圧力をかけ、受け取る側に負担を感じさせたり、職場環境を悪化させたりする行為のことです。

今回の場合もパワハラの被害者として、加害者や会社に対して損害賠償請求(慰謝料請求)をすることができます。請求できる金額は具体的な事情によって異なるのですが、今回のような発言が日常的にされていた、と証明できれば、数十万以上の慰謝料を請求できる可能性があります。

ただ、その証明は難しいので、録音するなどの証拠を残しておくことが重要になってきます。また、もし社長が他の社員もいる中で、“お前は会社の奴隷だ!”と言ったのであれば、侮辱罪(刑法231条)が成立する可能性もあります。このようなひどい事を言われて泣き寝入りすることはないですよ」と岩沙弁護士。

 

■目標達成のために、自腹で自社商品の購入を強要された場合

「商材の売り上げ目標まで、あと2万円ほどということがありました。部長は、自分で買ってお客様に売った事にして営業部の成績をあげろと強要してきましたが、これはパワハラではないでしょうか」(コスメ商材会社勤務・営業・28歳)

「2万円の自己負担は、生活にも関係してきますし、経済的にかなり厳しいですよね。受け取る側に精神的負担を感じさせるだけでなく、営業成績をあげるために自社製品を強制的に買い取るように強要する行為も、実はパワハラにあたります。

また、労働基準法24条1項に、賃金は通貨で全額払わなければならないという“通貨払いの原則”と“全額払いの原則”を定めています。自社の商品を買い取らせると、通貨で支払われる予定の賃金の一部が商品と取り替えられるのと同じなので、“通貨払いの原則”に反する可能性がありますし、それを給与から天引きするとなると、“全額払いの原則”にも反します。

そもそも自社製品の買取りは、雇用契約上の従業員の義務ではありませんよね。それにもかかわらず、プレッシャーを与えて、義務のない買取りを強制すると、強要罪(刑法223条1項)に該当する可能性も出てきます。パワハラに対する損害賠償の話だけではなくなってきます。

従業員に負担を強いて利益を得ようとする会社には、持続的な成長は期待できなそうですね」とのこと。

自社製品の買い取りについては、なんとなく暗黙の了解で行われている会社もあるのではないだろうか? 会社の文化に惑わされないようにしなければならないだろう。

 

以上、法的措置をとることができるパワハラ事例をご紹介したが、いかがだっただろうか?

不当な扱いを受けたら、必ずしも泣き寝入りする必要はない。自分なりに決着をつけられるよう、専門家に相談してみるのもひとつの手と言えるだろう。

 

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【取材協力】

岩沙好幸・・・弁護士・NPO法人日本家族問題相談連盟認定 離婚カウンセラー。主に労働案件を扱っており、不当解雇・未払い残業代請求や企業法務案件を担当。法律相談実績が20万件(2014年12月現在)を超えた『アディーレ法律事務所』勤務。ラジオやテレビなどさまざまなメディアでも活躍中。ブログ『白黒つける労働ブログ』連載中。

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