現役の会長が感じた「PTA活動の簡素化が難しい」根深すぎる理由

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皆さんは、PTA役員を担った経験はありますか? 最近では共働き家庭が増えたことで「PTA活動を簡素化しよう」という組織が少しずつ増えていますが、それでも現状とは見合わない活動が、半ば強制のように続けられている現場は少なくないでしょう。

筆者は今年4月、共働き家庭の多い保育施設でPTA会長に祭り上げられ、これまで定例会議運営や餅つき主催、運動会の準備に地区のPTA大会の司会進行……など、様々な雑務をこなしながら、これまで何時間費やしたか数えてみたら、1月中旬までで累計70時間ほど! しかし、年度末に向けまだまだ仕事は続きます。

なぜ、PTAの活動はなかなかラクにならないのか。そこには、脈々と引き継がれ、積み重ねってきた一朝一夕では変えがたき“暗黙のルール”があるのではないかと推測できます。

 

■ラクにしているつもりでも、積もり積もった“小さなマニュアル”

「昔よりずいぶんPTAはラクになった」という声も聞かれますが、果たして本当でしょうか?

「先生のために、今年はクラスで寄せ書きを用意しよう」

「去年運動会でこういう“クレーム”があったから、今年はこうしよう」

「役員会での資料は○日までに提出するように引き継ごう」

「読み聞かせの人が集まらないから、一般の父母を募って会議を開こう」

こんな風にして、毎年ちょっとした“ルール”が積み重なり、新しく追加された仕事はだんだんと“例年通り”として固定されていきます。

過去につみあがってきたものが、前に、後ろに立ちはだかり、父母の“自主性”を引き出す余地がなくなるケースは、多くの組織であるのではないでしょうか。

 

■誰かの善意が未来の重荷に……「これ必要?」と思える仕事がやめられない理由とは

少しずつ積み重ねっていく決まりごと。

にも関わらず、「この仕事は省きませんか?」と提案しても、必ず反対する人が出てきます。前年度の役員、園や学校側、現役役員、役員以外の保護者……。

地域組織や母親主体の組織において、“強く主張する人”、“発言権のある人”の同調圧力というのは、かなりのもの。

誰かが強い熱意をもって、「これはずっと続けてきたことだから、子どもがかわいそうだ」と言えば、そこには同調圧力が生じ、面倒を避けたいママたちは黙り込みます。

そうでなくても、私たちは政治でも、会社組織でも、一度決めたことを撤回するのがとても苦手な日本人です。一度始めてしまったことは容易にやめることができないのです。

「子どものためだから」というのは、言い返すことが難しくなる、ある意味、思考を停止させてしまう言葉とも言えるでしょう。

どんなに家庭生活が忙しくても「子どものために」と尽くしてきた“過去のママたちの善意”が、現役の役員たちの身動きをとれなくすることもあるかもしれません。

 

■私たちはもっとモメた方がいいのか?

PTA運営の影には、たくさんの陰口と、グチがあふれています。同時に、実際に大勢が集まる会議で発言して、“避けた方が良い存在”として、浮いてしまう可能性を誰もが恐れています。

育児問題に詳しいコラムニストの河崎環さんは、著書『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)の中で、PTAの形が現代の家庭に合わせてアップデートしていかない理由について“仲良しグループ”のメンバーとグチりあったり、SNS上に投稿して共感を得られても、実際の教室では押し黙り、議論が起こらないことにも原因があるのではと分析。

「日本の女の中には衝突が足りていない」と述べています。

<日本の女は「共感仲良し」の習慣にとらわれて、自分たちの中で陰口をさんざんたたいても、真正面の衝突を避けてきた。それは、もしかすると社会思想史的には“対男性の弱者連合という戦線を張ることで、連帯する必要があったから”……ということなのかもしれない>

確かに個人的な人間関係のトラブルは起こっても、“簡素化に向けた議論”って、PTAの現場では起こりにくいですよね。

波風を起こさず“例年通り”を続けることは大変でも、話し合いで面倒が起こるのは無理、と考える父母も少なくないでしょう。

とはいえ、一度「この仕事は何のためで、誰のため」か、穏やかに、そして時々モメながら話し合う段階にきているのかもしれません。

 

以上、PTA活動が変わらない理由についてでしたが、いかがでしょうか?

善意は、湧き出るものではありません。「善意を搾取されている」と感じた場合、家庭や子どもに向けるべき“善意”が行き届かなくなる可能性があり、“子どものための活動”という大義名分が本末転倒になることもあります。

核家族や共働き家庭が増え、仕事をしながら育児、家事を頼る家族がおらず、時間がない父母が増えています。

ガマンして“例年通り”を続けるだけでは、次の役員にガマンが連鎖することを、みなで認識するべき段階にきているといえるでしょう。

 

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【参考】

河崎環(2016)『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)

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