昔の女性はできていた!? 気になる「経血コントロール」のホントのところ

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昔の女性はできていた! 気になる「経血コントロール」のホントのところ

働く女性にとって、生理期間中は悩みが多い。生理痛もさることながら、立ち仕事の方も、デスクワークの方も、ヒヤっとする瞬間を経験した方は多いだろう。

使い捨てナプキンが主流の現代、布ナプキンが最近話題となっているが、一方で、“布ナプキンを使うと経血量が減る”、“骨盤底筋を鍛えれば、昔の人のように経血がコントロールできる”といった興味深い話もネットにはあふれている。

何を隠そう、筆者はエコの観点から11年来の布ナプキンユーザーであり、オフィスでの「ヒヤッ」も「あ~あ」も経験したことがあるのだが、“経血コントロール”は本当に可能なのだろうか?

そこで今回は、女性の月経の歴史を研究し、『生理用品の社会史』といった生理に関連する本を多数出版している歴史社会学者の田中ひかるさんに、“経血コントロール”の歴史的経緯についてお話しをうかがった。

 

■昔の人は経血コントロールができていた?

「私は、月経に関する古今東西の資料を渉猟してきましたが、女性が経血をコントロールしていたという記述には出会ったことがありません。

もちろん、記録に残っていないから存在しなかったとは言えませんが、女性達の経血処置の歴史を振り返れば、いつの時代も女性たちが経血処置に頭を悩ませてきたということは明らかです。経血コントロールが体得できるものであれば、生理用品はここまで進化しなかったでしょう」

田中さんの著書には、人類が裸体生活から服をまとうようになってからの生理用品の歴史が詳らかに書かれており、大変興味深い。

ナプキンのなかった時代は、月経時の女性の日常生活は大きく制限され、不自由な生活を強いられていたという。すべての人が経血コントロールをしていたとはいえないようだ。

 

■なぜ経血コントロールの情報が広まったのか

「昔の女性は経血を溜め、トイレなどで意識的に排出することができたという話が流布しています。そういう女性もいたかもしれませんが、女性みんながコントロールをしてきたわけではない、というのが実情です。

今から半世紀前に生理用ナプキンが誕生する以前、布や紙、脱脂綿などをタンポンのように詰めたり、ナプキンのように当てたりして経血の処置をしていました。心もとない方法で、もれるということは日常茶飯事でした。

ですから、経血を溜めてトイレで排出しようという意識が働いたとしても不思議ではありませんが、技術といった類のものではありません。もし、現代の女性が外出先で急に始まり、生理用品を持っていなかったとしたら、やはり同じような意識が働くのではないでしょうか」

と田中さん。“経血コントロール”という言葉が一人歩きしている感があるが、女性から女性へ“技術”として受け継がれてきたわけではなさそうだ。

また、田中さんによると、現代の女性は昔より動物性タンパク質を多くとっているため、経血量が増加している傾向にあるという。

生理には個人差があるため、経血量がごく少ない女性の場合、一時的に経血を溜めることが現代と比べやりやすい環境にあったかもしれない。そういった数少ない昔の女性の体験が、“誰でもできるもの”として広がってしまったのではないだろうか。

 

以上、今回は“経血コントロール”の歴史的経緯についてお伝えしたが、いかがだろうか?

あくまでも一部の女性が行っていたと考えられる“経血コントロール”。働きながら取り入れるにはハードルが高いかもしれない。

働く女性にとって健康は資本であり、自分自身の身体と向き合うのはとても重要なことだ。しかし、田中さんは月経や生理用品に過剰な意味づけを行うことに対し警鐘を鳴らしている。

特定のものに体質改善を望むより、食事や規則正しい生活や清潔な生理用品によって不快感を和らげ、一番自分の気持ちの良いと思える方法でその期間を過ごすことが大切だろう。

 

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【取材協力】

※ 田中ひかる・・・歴史社会学者。主著に『月経と犯罪―女性犯罪論の真偽を問う』『月経をアンネと呼んだ頃―生理用ナプキンはこうして生まれた』ほか

 

【参考】

田中ひかる(2013)『生理用品の社会史 – タブーから一大ビジネスへ』(ミネルヴァ書房)

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