過労死ライン超え4割…「長時間労働はなぜ起きる」現場の実態は?

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政府が「働き方改革」と銘打って改革・改善に乗り出している、労働環境問題。しかし現場で働いていると、「改革そのものがピント外れに思える……」という人も少なくないかもしれません。

例えば、目下大きな問題となっている長時間労働については、どうなのでしょうか?

そこで今回は、ある調査結果から明らかになった現状と、改革がなかなか進まない背景をご紹介します。

 

月80時間とされている“過労死ライン”「超えて残業した社員がいた」企業は4割も!

2016年12月に厚生労働省が発表した「“過労死等ゼロ”緊急対策」の中では、長時間労働の是正として新ガイドラインのもと、過労死ライン(月80時間)を超える残業をしている企業は社名公表をされるなど注目されています。

エン・ジャパン株式会社が408社から回答を得た「“過重労働”に関するアンケート調査」では、「過去1年間で過労死ライン(月80時間)を超える残業をした社員がいましたか?」と質問。

すると、40%の企業が「いた」と回答しました。業種別に見てみると、割合の高い上位3つは下記の通り。

・広告、出版、マスコミ関連・・・64%

・IT、情報処理、インターネット関連・・・48%

・メーカー・・・45%

さらに企業の規模別に分けた結果では、社員1~50名規模の企業では27%ですが、501名以上のいわゆる“大企業”と言われる規模の企業では、なんと68%も! 大企業ほど割合が高い結果となっていました。

大企業ほど長時間労働が起きやすい、ということなのでしょうか?

 

中小企業の苦しみ……“中途採用が順調ではない”!  人材不足が長時間労働に?

ここで、別のデータも見てみましょう。

マンパワーグループが中途採用を実施している企業の人事担当者251名に行った「現在の中途採用における採用状況や課題についての調査」の中で、「現在、中途採用は順調か」と質問しています。

「とても順調」と「やや順調」を足した答えの割合と、「あまり順調ではない」「まったく順調ではない」を足した割合を比べると、従業員数500名以上の企業は「順調」の割合が高い、という結果に。

一方で、500名未満の企業は「順調ではない」の割合が高かったのです。

「中途採用における課題は」との質問では、最多回答が「応募者がなかなか集まらない」。更に2位と3位を見ると、「求める人材の確保が難しい」「ターゲットとしている人材以外からの応募が多い」となっていました。

この回答は大企業も含めた全体のものではありますが、応募者自体が少ない中では大企業に人材が流れがちに……という構図が想像できますよね。人材不足は長時間労働にも繋がりかねないと考えると、上述の結果から一概に“大企業ほど長時間労働が起きやすい”とも言えず、やはり中小企業にも“長時間労働のタネ”があると言えそうです。

 

企業が考える長時間労働防止の取組み……“人を増やすより現状を工夫”が多数

この実態に企業側もただ手をこまねいているわけではないようで、「過重労働防止に取り組んでいますか?」という質問に「はい」と答えたのは74%でした。

取り組んでいる企業に「実施している取り組みついて具体的に教えてください(複数回答可)」と質問すると、結果は下記の通りに。

・「業務分担やフローの見直し」・・・58%

・「管理職への教育(時間管理)」・・・52%

・「残業を事前申請させる」・・・51%

どうやら、今ある環境や社員の管理面の見直しを重視する企業が多いようです。

「働き方改革」で矢継ぎ早に政策を打ち出す政府ですが、世間に浸透しているかどうか疑問が残る部分があることも確か。また、現場との温度差が否めない印象があるのも事実でしょう。

その証拠に「2016年12月に政府が公表した、“過労死等ゼロ緊急対策”を知っていますか?」との質問では、「内容も含めて知っている」と回答した企業は16%に留まりました。

・「内容も含めて知っている」・・・16%

・「名称は聞いたことがあるが、内容はよく知らない」・・・63%

・「知らない」・・・21%

政府が打ち出した対策に対する、低すぎる認知度が浮き彫りになったと言えるでしょう。

 

いかがでしたか? 政策や制度がどんどん増えているものの、働く現場が追いついていない現状……それでは、「働き方改革」がなかなか進まないのも当然なのかもしれません。働く側がこういった取り組みをよく知ることも、社会全体の改革・改善への第一歩かもしれませんね。

 

【参考】

「過重労働」に関する実態調査 – エン・ジャパン株式会社

現在の中途採用における採用状況や課題についての調査 – マンパワーグループ