自分が選んだ道を「正解」にする…ジェーン・スーが語る30代からの生き方 

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女性なのだからあれをしちゃいけない、こうしなくちゃいけない——世の中には、見えない“呪い”がありますよね。息苦しくなることもあるでしょう。

そんな女性たちへの呪いを解いてくれるのが、人気コラムニストのジェーン・スーさん。ラジオ番組『ジェーン・スー 生活は踊る』(月曜〜金曜、TBSラジオ)に出演するほか、新刊『今夜もカネで解決だ』(朝日新聞出版)や、原作を手掛けたコミック『未中年~四十路から先、思い描いたことがなかったもので。~』(新潮社)が話題になっています。

スーさんへのインタビュー前編では、仕事への向き合い方を聞きました。後編では、30歳を越えたあとの生き方について話をうかがいます。

 

幸せはお金で買えないけど、満足は買える!

——新刊『今夜もカネで解決だ』は、スーさんが数々のマッサージ店に行った感想を綴るエッセイ。“お金で解決する”というのは一般的によくない意味で使われますが、「自分で稼いだお金で自分を癒すって、いいことだよなあ」と思えました。大人になったつらいことがあっても自己解決しなくちゃいけない、という呪いがあったんだなぁと気付かされました。

ジェーン・スーさん(以下、スー):やっぱり、労われたいですよね。大人になって、他人の事情も斟酌するようになると、自分が傷ついた気持ちをどこにも持っていけなくなってしまうことってあるじゃないですか。人を責めずにぐっと我慢することで、ストレスがたまってしまう。そういうときに、お金を媒介にして他者から労われ、明日への活力にするのは、ぜんぜん悪いことではない。幸せはお金で買えないけど、満足は買えます!

とは言え、お金は有限。生活レベルを一気に上げることはできないので、自分が魅力に感じるものに特化してお金を使うのがいいんじゃないでしょうか。私の場合はマッサージですが、人によって、リッチな食事をするとか、高い服を買うとか、その対象は異なると思います。

——マッサージのほかには、どんなストレス解消法がありますか?

スー:40歳を過ぎてからは睡眠ですね。もともとは寝なくても済むなら起きて活動していたいタイプだったんですが、40歳を境に体力が持たなくなってきて、ちゃんと寝ることで精神も持ち直せることを学びました。以前なら友だちと2軒目に行っていたところを、睡眠に切り替えるようにしています。

——リラックスできるよう、アイテムにもこだわりがあるのでしょうか。

スー:入浴剤は好きだけど、ドラッグストアで買えるレベルのものだし、そんなにこだわりはないですね。オリジナル枕を使っているくらいでしょうか。3万円くらいで購入しました。

 

女友だちは「元本割れしない資産」じゃんじゃん投資を!

 ——もうひとつの新刊であるコミック『未中年~四十路から先、思い描いたことがなかったもので。~』は、40歳の女性・片山亜弥が主人公。結婚して仕事もあり、端から見れば順風満帆だけど、本人は焦燥感を抱えている……という設定です。女友だちと卓球をして「私たちあの頃みたいにまだ笑えるんだ」と気晴らしするシーンが印象的でした。スーさん自身も、コラムやインタビューを読んでいると、素敵な女友だちがたくさんいる印象です。どのように友情を育まれてきましたか?

スー:女性は結婚や出産などライフステージの変化で環境が変わり、距離が離れることもありますが、そんなときは放っておくんです。育児によって離れたとしても、子どもが成長して落ち着いたら戻ってくる。彼氏ができて、そちらにベッタリ……というパターンもありますが、「恋愛と友情、どっちが大事なの」と突きつけるようなことは絶対しないほうがいい。

——付き合うにあたって無理をしない、ということでしょうか。

スー:そうですね。でも、関係を維持するために、自分のコストはきちんと払います。誰かが困っているときには、万象をくりあわせて必ず駆けつける。

——お忙しいかと思いますが、それでも時間を作って会いに行くと。

スー:普通の集まりはすっとばしてもいいけど、友だちが本当に困っているときは必ず行きます。女友だちは、唯一元本割れしない資産なので、じゃんじゃん投資しようと。何でも話せる友だちや頼れる友だちはお金で買えないですから。

「私には大事にしてくれる友だちがいない……」という相談を受けることがあります。たしかに運や縁もあるけれど、見返りを求めずちゃんと気持ちと時間を使えば、友情は育っていくものだと思います。

——大人になってからでも、そういう友だちはできますか?

スー:できますできます。子どものころよりは時間がかかりますが、できないということはないです。

 

大人になったからって、超人になれるわけじゃない

——『未中年』でもうひとつ印象的だったのは、「20代より使えるお金も出来る仕事も世間の知識もちょっとずつ増えた30代前半は、人生のマジックアワーだ」という文章です。スーさんが30代前半だったとき、その自覚ありましたか?

スー:当時はなくて、先輩に言われても「?」という感じでした。でも今振り返ってみると、たしかにそうだったなと。

今まさに30代前半の人はピンとこないかもしれないですけど、いい時期だから、やれることは全力でやっておいたほうがいいよと声をかけてあげたくて。

——『未中年』はとくに読者からの反響が多いですね。みんな何か言いたくなるというのは、そのくらいリアルだからかなと思いました。

スー:じつは2冊とも裏テーマは一緒なんです。大人になったからって、それだけで超人になれるわけじゃないし、誰かに大切にされない毎日でも我慢できるわけじゃない。誰だって、大人になっても大切にされたいですよね。私はマッサージで補っているし、『未中年』の亜弥はコンビニ店員との交流で補っている。モヤモヤを何かで解消しようとするのは、決して悪いことじゃないんです。

——『未中年』では既婚女性であるがゆえの苦悩が描かれましたが、未婚女性も大変ですよね。「君は○○だから結婚できないんだよ」なんて余計なお節介を焼かれることも多いですが、“自分らしさ”と、好かれるために変えたほうがいいと言われる部分と、どう折り合いをつければいいと思いますか。

スー:少なくとも私は、自分らしさを偽り続けなくてよかったと思っています。それによって他者を傷つけることもあったかもしれないけど、自分を殺すよりはよかったかなと。「私らしく」といったときに、それがただのワガママなのか、自分の核になる譲れない部分なのかは慎重に考える必要があると思う。もし、こうしたほうがいいと言われる人間像に近づくには無理をしなくちゃいけない場合は、他者への思いやりさえ身につければ、その気づまり感は解消できると思います。

 

選択した道を、自分で正解にしていく

——スーさんはラジオで相談を受けた際に、「選択には正解がない、自分で正解にしていくだけ」とよくお話されていますよね。今のお話とも通じるところがあるかなと思いますが、どうしてそんな風に考えるようになったのでしょうか。

スー:30歳そこそこのときに大失恋をして。やっぱりあのとき結婚すればよかったとか、あんなことしなきゃよかったとか、いろんな思いが湧いてきたんです。自分を責めてどん底まで落ちたときに、別れたことを正解にするしかない、自分が選んだ道を正解にしていくしかないんだと思ったんです。

最初から正解・不正解が決まっているものは、クイズくらいしかありません。昨日まで正解だったものが、今日は不正解になることもある。だから、自分で正解にしていく努力をしないといけないと思います。

——そのときは、具体的に何を頑張ったのでしょうか。

スー:生きることですね(笑)。死にたいわけでなかったけれど、“生の停止”をしたい気分で。でも、普通に生きられるように頑張った。具体的には仕事かな。忙しさは、悲しみを紛らせてくれる。私の場合は仕事でしたが、習い事でも、勉強でも、運動でも何でもいいので、定期的に自分で忙しさを作り出すといいと思います。

行動することが大事です。座っていると、ろくでもないほうに行ってしまいますから。

前編「ジェーン・スーが語る仕事論“自分の良さは他人が見つけてくれる”もの」はこちら >

 

■新刊情報


『今夜もカネで解決だ』(著:ジェーン・スー/朝日新聞出版)


『未中年』(原作:ジェーン・スー、漫画:ナナトエリ/新潮社)

 

■番組情報

※ TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』公式サイト

 

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